国内リートの利回りは、他の投資商品と比べて、有利なものが多くなっています。
これから投資を始めようという人は、国内リートの利回りが高くなる仕組みを理解した上で、リートでの運用を検討されてもよいかもしれません。
リートの分配金利回りとは
リートの分配金利回りは次の式で簡単に計算できます。
分配金利回り = 年間の予想分配金 ÷ 投資額
例えば、年間の予想分配金6,700円のリートに、1口116,800円で投資をした場合
6,700÷116,800=5.7363% → 5.74%
になります。
リートの利回りはなぜ高いのか
リートは収益の9割超が分配金(配当金)に回る
国内リートは投資法人という形態で運営されていますが、当期利益の90%超を投資家に分配することで法人税が免除される仕組みになっています。
株式会社の場合は、法人税を納めた後の残った資金で配当金が分配されますが、国内リートの場合は法人税を納めずに分配金に回すことができるので、その分、利回りが高くなっています。
その他の投資商品と比べて、投資家が分配金を多く受け取りやすい投資商品と言えます。
リートの利回りは長期安定しやすい
分配金の原資は、不動産の賃料収入となります。
少々、景気が悪くなったとしても、簡単に事務所を移転したり、賃料が下がることはまれです。
投資法人は多数の不動産に分散投資を行い、リスクを分散します。
不動産投資のプロが最大限に賃料収入が得られるような仕組みを構築するので、分配金は長期的には右肩上がりに伸びていき、安定もしています。
国内リートの今後の見通しについて
東京のオフィス動向について
三鬼商事株式会社の調べでは、2019年8月時点の都心5区の空室率は1.71%まで低下、平均賃料は21,784円/坪で、68ヶ月連続の上昇となっています。
大阪、名古屋、福岡などの都心部も同じように活況です。
平均賃料も上昇を続けていますし、どの地域も需要に対して、新規物件の供給が追い付いていない状況かもしれません。
投資家も何年も前からこのような状況を知っていて、既によく買われてもいるため、事務所主体型リートの投資口価格は上昇して、現在は割高感があり、利回りも下がっている状況です。
今からリート投資を始める人で、長期保有しようと思う人は、利回りがより高い別タイプのリートに投資された方がよいかもしれません。
深刻化する人手不足の影響について
少子高齢化で労働力人口には限りがあります。
今後、企業の経営者が従業員数を維持・増加させようと思えば、今よりも利便性の高い地域や人気のあるエリアへ事務所の移転を考えるようになるかもしれません。
そうしていかなければ人を集めるのも難しくなるからです。
また、こういう状況は物件の入れ替えを行う際の、事務所主体型リートの運営にも影響していくと思われます。
物流の時代
人手不足により、実店舗からネット取引に移行する流れも予想されますし、物流施設の需要は安定した状態が続くと予想されます。
物流施設主体型リートには追い風かもしれません。
訪日外客数の増加
2003年にビジットジャパンキャンペーンが開始されて以来、ビザの緩和や海外に対するプロモーション活動など、政府は観光産業を重点的に進行しています。
この活動の結果2003年には約500万人程度であった訪日外国人は15年で約3000万人まで増加しました。
2020年には東京オリンピックも開催されるので、今後もさらに伸びていくことが予想されます。
これに伴って、ホテル需要の拡大、商業施設の利用拡大なども期待できるため、ホテル主体型リートや、商業施設主体型リートにも注目が集まりやすくなっています。
※国籍/月別 訪日外客数のデータはこちらで確認できます。
日本政府観光局 月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)
まとめ
リートの利回りについて書きましたが、リートは賃料収入をベースとしているため安定しています。
一般企業の株式と比べて、比較的リスクも高くなく、リターンも得られやすいため注目を集めています。
実物の不動産と違い、少ない資金でも投資を始めることができますし、換金性が高いのも特徴です。
現在、割高感が出てきているようにも思われるので、値上がりを期待して利益を出すのは難しいと思いますが、長期間保有して、分配金を安定的に受け取るような目的で投資されるのであれば、おすすめの投資商品だといえます。